衝撃の解散発表後に届けられた約2年8ヵ月ぶりとなるアルバムは、まさに彼らの最終段階を鮮やかに彩る超充実盤。よく最後の作品となると、たとえばそのアーティストの総集編をイメージした大がかりなコンセプトが……ということもよくあるが、しかし僕は本作から“解散”という二文字をまったくといっていいほど読みとることができなかった。それどころか、未来に向けて歩き出す彼らの姿が見える気すらした。それぐらいポジティヴな作品だ。内容的には「ラッキープール」など最近のシングル4枚を収録、プロデュースとアレンジ、ビジュアル面までもを手がけたギタリストTAKUYAの存在も光るところだが、何より目立つのはYUKIの変幻自在のヴォーカル・スタイルと存在感。彼らの初心ともいえるワイルドさと疾走感、そしてその中に一際光る洗練されたYUKIの感覚と作詞能力、プロとしての大人の感覚とその中に生きる無邪気さ、といったものを最後まで見せつけてくれた優れたアルバムだ。 (土橋一夫) --- 2001年03月号